おはようございます!シータケ@食品工場です。
今日は「【防虫・防鼠】シバンムシが見つかった時の対処方法はこれだ」ということで、表題の件について解説していきます。
最近、消費者庁のリコール情報サイトにこんな情報が掲載されていました。
「ムソー株式会社」の販売している「焼きそば 全粒粉入り」という商品において、製品にシバンムシが混入したとのこと。
また、過去には「理研ビタミン」の「コーンクリームスープ」にシバンムシが混入していたこともあります。
「虫の混入は一撃で会社の存続に影響を及ぼします」
今回の記事を最後までご覧いただければ、虫(特に今回はシバンムシ)を混入させないために、工場や飲食店においてどのような管理をすべきなのか、その概要を理解することができます。
工場の従業員の皆様はもちろん、飲食店などを経営している方も参考になる内容だと思いますので、ぜひ最後までご一読いただければ幸いです。
シバンムシとは
なんでも食べる昆虫で、漢方薬、タバコ、畳、などなんでも食べることが知られています。もちろん食品にも発生して問題となることがあり、家庭であればしばらく使っていなかった小麦粉などに気付かない間に忍び込んで大発生して問題となることもあります。
食品工場で「粉」がたまってしまっているような場所にも知らず知らずのうちに増えていることがありますので、よく注意が必要です。
私の経験では「排気ダクト」の中が構造上清掃がしにくかったのですが、そこに原料秤量の際の粉が舞って吸い込まれて蓄積していました。
排気ダクトは屋上から工場の外につながっているのですが、ダクトに設置してあるフィルターの隙間からシバンムシが侵入したらしく、排気ダクトの中で超大発生しており、死骸も含めて何千何万のシバンムシが所せましと発生しており、おぞましい光景だったことを覚えています。
あとは、工場の中でネズミが発生したときにネズミのモニタリング用としてひまわりの種などの「ネズミの餌」を天井裏に設置したんですが、ネズミが駆除されたあとも餌を撤去することを忘れていました。ある日、シバンムシが見つかったので原因を調査していたところ、天井裏に設置したネズミ餌にシバンムシが発生していることがわかりました。
このように、穀類を中心になんでも食べて大発生するのがシバンムシなので、よく注意が必要です。
シバンムシのモニタリング方法
シバンムシは見ての通り羽があって飛翔しますので、「飛翔虫のトラップ」でモニタリングしましょう。
走光性もあるので、万が一どこかで内部発生していた場合、漏れ出てきたシバンムシが光に吸い寄せられてトラップで捕獲される形になります。
飛翔虫のモニタリング用トラップは以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
シバンムシが見つかった場合
STEP1 内部発生か外部侵入か判断する
モニタリングトラップでシバンムシが見つかった場合、「内部発生」か「外部侵入」か判断する必要があります。
外部侵入の場合、よっぽど外にシバンムシが大発生していない限り、一匹などごく少数の捕獲にとどまり、継続性はないと言えるでしょう。
逆に内部発生の場合、既にどこかにシバンムシが定着して増殖しており、それが漏れ出てきてトラップに捕捉されている可能性があります。
STEP2 内部発生の場合、発生源を突き止める!
シバンムシはもとはと言えば「雑穀」などを食べて繁殖する昆虫です。
食品会社においても乾燥した農畜産物や、澱粉などが堆積している箇所を好みますのでそのような増殖の可能性が考えられる箇所をいくつか選定しましょう。
そして次に、シバンムシ専用のフェロモントラップを使用して選定した場所に設置していきます。もしシバンムシが発生していればフェロモンに吸い寄せられますので、トラップにシバンムシが捕獲されるはずです。
ここで注意点ですが、「トラップには全てのシバンムシが捕獲されることはありません。」
あくまで「モニタリング」が目的です。ここにシバンムシが存在しているんだな、ということが突き止められれば、全て殺虫するには別の手段を用いていきます。
STEP3 燻煙剤を使って殺虫する
STEP2でどこにシバンムシが発生しているのか、判明したと思いますので、燻煙剤で殺虫していきましょう。
燻煙剤には私の工場はアースレッドを使っています。アースレッドを使っておけばだいたいの虫は駆除できますので、おすすめです。
設置した空間の大きさによって、サイズを使いこなすといいですが、大は小を兼ねるので、以下の40畳でも対応可能な大きさのものを購入しておけば間違いないです。
なお、注意点になりますが、燻煙したとしても薬剤の成分が虫にとどかなければ殺虫することはできません。
たとえば、粉の中にシバンムシが埋もれている、まだ卵の状態でふ化していない、などの場合燻煙を実施しても殺虫仕切ることができない場合もあります。
したがって、燻煙を実施する前には極力清掃を実施して溜まっている汚れや餌となっていそうな穀類を除去するようにしましょう。これが残っていると結局燻煙の効果が得られず、再度シバンムシが発生する原因となります。
また、卵には効かないことが多いので、燻煙を実施しても後でシバンムシの卵が孵化して再度増殖の原因となることがあります。シバンムシのライフサイクルは以下の通りなので、少なくとも2週間以上たった時点で2回目の燻煙を実施するようにしましょう。
これで、万が一残っていた残党にも留めをさすことができるため、環境をリセット出来る可能性が高まります。
結局再発したら元も子もないので、ここは手間暇や資金を惜しまず徹底的に処置することが大切です。
【シバンムシのライフサイクル】
卵期は6〜12日
幼虫期間は30〜45日
蛹期間は5〜7日
羽化後の寿命は10〜25日
卵は10〜60個程度産む
STEP4 死滅したことをモニタリングで確認する
シバンムシが発生していて処置を実施した箇所に再度フェロモントラップを仕掛けます。万が一死んでいなかった場合、フェロモントラップにシバンムシが捕集されますので、この場合は再度清掃と燻煙を繰り返すことになります。
シバンムシのライフサイクルがおおよそ2か月程度ですので、処置を実施してから2か月ほどモニタリングを実施して、フェロモントラップに捕集が無ければ完全にリセットが完了したと判断していいでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
食品工場は特定の原料に対して、開封、秤量、配合を繰り返し実施します。その過程で粉がこぼれたり舞ったりして環境に残ってしまうことも珍しくないと思います。
シバンムシはそんなところを見つけては原料を食べて増殖することが多いです。
一日の終わりには必ず製造環境をリセットすることと、普段掃除がしにくいような箇所に関しても1か月に一度は時間をかけて清掃するようにしましょう。
シバンムシのライフサイクルは早くても2か月程度なので、1か月に一度清掃ができていれば万が一入り込んだとしても増殖する前にリセットすることができます。
また、万が一シバンムシが増殖したときにはそれがわかるようにモニタリングを実施し、上記のような手順で対応していきましょう!
虫が無い環境で、安全安心な食品を製造していきましょう!!
本日は以上です。
さようなら!!
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