製造ラインがきれいに洗えているか確認する方法

微生物

おはようございます!シータケ@食品工場です。

今日は「製造ラインがきれいに洗えているか確認する方法」ということで解説していきます。

みなさん家でご飯食べた後に食器を洗いますよね?調理器具やフライパンもきれいにしますよね?
工場も同じ食品を作っている以上は、製造ラインはしっかり洗浄するべきだと思いませんか?

でも製造ラインが綺麗に洗浄できているかどうかは「目に見えないから、わからないよ…」ということもあるかと思います。

今回の記事を読めば、洗浄の大切さや、きれいに洗浄できているか確認する方法が理解できます。

まずは洗浄が大切なその理由について説明していきます。

洗浄が大切な理由

ちゃんと洗浄が出来てないと、何が問題でしょうか?

レストランでしっかりと洗えてないお皿に料理が盛り付けられてきたらどう思いますか?不衛生!!と思われますが、そのような感覚も大切な理由の一つで間違っていません。

しかし、他には?他には?と改めて聞かれるとなかなか返答が難しい人もいるかもしれません。

以下のリスクがあるので一つ一つ確認していきましょう。

アレルゲンが混入して人が死ぬかもしれない

ちゃんと洗浄が出来ていないと、同じ製造ラインで作った前の製品のアレルゲンが混入することになります。

たとえば、皆様のご自宅でフライパンでたまご焼きを作った後に、豚肉のしょうが焼きを作ったとしましょう。たまご焼きを作った後にフライパンを洗剤で洗っていましたが、洗いが不十分でたまご焼きの残りかすが豚肉のしょうが焼きに混入してしまいました。豚肉のしょうが焼きをたまごアレルギーを持っている子供が食べた場合、アレルギー反応を示してしまうことになります。

人によっては「アナフィラキシーショック」といい、命にも関わることになります。

つまり、食品工場においてしっかりと製造ラインを洗浄出来ることは人の命にも関わる重要な責務なのです。

微生物が増殖して食中毒になるかもしれない

ちゃんと洗浄できていないということは、製造ラインに微生物が増殖するような栄養成分が残っているということになります。

仮に「加熱殺菌」工程がはいっていたとしても、黄色ブドウ球菌が増殖したら毒素を作るため菌は死んでもこの「毒素」が残って食中毒を起こすことになります。

このように食中毒菌の中には毒素を産生する菌も多数存在するため、しっかりと洗いきることが大切なのです。

そのまま喫食するような製品であればなおのこと危険です。

異物混入で回収することになる

洗浄がしっかりできていないと、本来入ることのない原料が混ざることになります。

たとえば鮭のおにぎりを食べていたら中からキノコが出てきたらどう思いますか?

「おいおいおいおい、大丈夫かよ、このキノコどこから来たんだよ、そもそもこのキノコ食べてもいいキノコなのか?なんか色々不安だな…」ってなりますよね。

そうするとこの日製造したおにぎり全て回収!となってしまう可能性があるわけです。

経済的な損失もありますが、なによりも会社の信頼が失墜してお客様が離れていってしまうことになります。

そんな工場で働きたくない…

こんな洗浄がしっかりできてない工場についてどう思いますか?私だったら自分が働いている工場で、自分がかかわった商品がこんないい加減な形で世の中に出て、人に危害を加えているかもしれないと思うと、とても嫌です。

このように、納得できていない従業員にフラストレーションがたまってSNSなどで晒されてしまうこともあります。

こうなった場合、情報が一気に拡散して収集がつかなくなり、営業停止!という会社もごくまれに発生します。

では、しっかりと洗浄出来ているか科学的に検証するにはどうしたらいいのでしょうか。

ちゃんと洗浄出来ているか分析する方法

以上のことから、食品工場においてちゃんと洗浄がしっかりすることの大切さがわかったと思います。

では、しっかり洗浄出来ていることはどのように確認したらいいか?

もっとも一般的な方法を紹介していきます。

STEP1、製造ラインの洗い残しが発生しそうなところを選定する

洗浄方法にもよりますが、たとえばスポンジやブラシでごしごし洗浄する場合、構造が複雑で物理的にスポンジやブラシが当たりにくいようなところは汚れが残りやすいですよね。

こういったところをいくつか選定しておきます。

STEP2、洗浄完了後に目視で確認する

目視で確認して汚れが残っている場合、もうNGです。分析する必要もありません。「洗えていない」という事実がわかったので、次からしっかり洗浄するための対策を考えていくことになります。

STEP3、ATPのふき取りキットで確認していく

食品の汚れが残っていた場合、ATPのふき取りキットで検査をすると汚れの残り具合が数値で確認できます。キッコーマンの商品が最も有名で、うちの会社もATPのふき取りキットで調査しています。

ATPとは生き物が持つエネルギー源となる成分で、あらゆる食品に含まれていますのでこのATPを検出することで汚れの存在を確認している、という仕組みになります。

業者の方はもちろん、一般の方も自宅で使ってみても面白いかもしれませんね。旦那さんがちゃんと食器を洗えているか確認してみてはどうでしょうか笑



STEP,4 対策を考える

汚れが残っていてしっかり洗浄できていない場所がわかったら、あとは対策を立てることになります。

ブラシの形状を変える
洗剤を変える
CIPなど自動洗浄の場合は温度を上げる
流速を早くする

色々考えられますので、チャレンジしてみて、標準作業書を改善していきましょう!!

アレルゲンを確認するキット

上述した「ATPふき取り検査システム」が最も一般的ですが、しっかりとアレルゲンを除去出来ているか確認したい場合は、以下のようなアレルゲン検査のキットが有効ですので、参考にしてください。確認したいアレルゲンごとにキットが異なりますので、ご注意ください。







まとめ

本日は「洗浄の大切さ」については話してきました。

あらためて、言語化してみるととても大切なことですよね。

ご自宅でもアレルギーを持っている方にとっては重要な話だったかもしれません。

今回の知識を参考に、安全安心な食品を選んでいきましょう!!

今日は以上です!!

さよなら!!

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