【異物】金属異物が混入する理由とその対策

異物

おはようございます!シータケ@食品工場です。

今日は「【異物】金属異物の混入を防ぐ2つの考え方」ということで、表題の件について解説していきます。

釘、ネジ、ボルト、ナット、色々と食品に危険な金属の異物が入るニュースが止まらないですよね。家で調理している中で、このような異物が混入することは無いと思いますが、なぜ工場では相も変わらず金属異物が混入してしまうのでしょうか。

消費者庁のリコールのサイトで探せば何かしら金属の部品が混入したニュースが出てくると思います。
サイト

今回の記事を読めば金属異物が混入してしまう理由、そしてその対策について理解できることになります。
それではさっそく、ご説明していきたいと思います。

なぜ金属異物が混入してしまうのか

なぜ金属異物が混入してしまうのか、その理由は…

理由①「大量生産するのに設備を使用せざるを得ないから」
理由➁「設備は金属で作らざるを得ないから」

この2点が理由になります。

理由①「大量生産するのに設備を使用せざるを得ないから」

一般のお客様がリーズナブルなお値段で食品を入手して、購入していただくためには大量生産せざるを得ないわけです。たとえば、従業員の日給が1万円だとして、その従業員が一日一個の製品しか作ることができなかったら、その1万円がそのまま製品の価格に反映されてしまうことになります。

では10個なら?1000円が製品に反映されます。

では1000個なら?10円が製品に反映されます。

では10000個なら?1円が製品に反映されます。

工場では限られた従業員で、いかに大量に製品を作って出荷するかが勝負になるのです。

そして、そのためには大きな設備を使用して製造せざるを得ない、という事実があるのです。

理由➁「設備は金属で作らざるを得ないから」

そうすると大きな設備を使用するわけですが、大きな設備は「金属」で出来ているんですね。これは耐久性の問題で、プラスチックや樹脂などでできた設備は耐久性がありません。

よく子供のおもちゃなどでプラスチックでできたものもあると思いますが、すぐ壊れますよね?

もし製造工程でプラスチックや樹脂を使用した場合、金属よりもはるかに高頻度で異物混入してしまうことになります。

また、耐熱性もないため、加熱した場合には溶けて混入することもありますし、食品に接するようなプラスチックは食品衛生法で使用基準がガイドラインで定められており、使えるものと使えないものがあります。

したがって、耐久性に優れていて、衛生的な金属を使用せざるを得ないということなんです。

ただ、金属も無敵ではないので、連続で使用し続けるうちに摩耗してきて、上述したような釘、ネジ、ボルト、ナットなどが混入してしまうことになるわけです。

では、このような設備から発生する金属異物が食品に混入した場合どのようなリスクがあるのでしょうか。

リスクは何か

食品に金属異物が混入した場合、健康危害を及ぼすリスクがあります。

即ち、その商品を喫食したお客様が口の中や体内を傷つけてしまう可能性があるということです。

ではどれぐらいの大きさであれば危害性があるのか気になるところですが、以下に、国内外の基準を一例として示します。

  • 日本→食品衛生法第6条「人の健康を損なうおそれがあるものの販売等を禁止」とあるが、種類や大きさなどの具体的な基準はない。
  • 韓国→食品衛生法にて「長さ2.0mm以上の異物が検出されてはいけない」としている。
  • 米国→FDA(米国医薬食品局)が食品中の硬く鋭利な異物が含まれていたケース190件の評価を実施し、「最大寸法7mm以下の異物は外傷・重傷の原因にはほとんどならない」と結論づけている。※乳児、手術患者、高齢者などの特別なリスクグループを除く

このように各国の基準や目安は異なることを踏まえると7㎜以下であれば絶対大丈夫、とは言い切れないが、7㎜以上の金属異物は絶対NGということはわかるかと思います。

では、このような設備から発生する金属異物はどのように防いでいったらいいのでしょうか。

金属異物混入防止対策

では続いて「発生防止」と「流出防止」の2つの切り口で金属異物混入防止対策を説明していきたいと思います。この二つの考え方は品質保証を考える際に一般的に大切な考え方なので覚えておきましょう。

①発生防止の対策を講じる(金属異物が入らないような対策)

使用している設備において、金属異物が発生しないような対策に力を入れましょう。

上述したような、「大きな設備」には金属の部品が盛りだくさんです。

一例を以下の写真で示します。(関東混合機工業株式会社

こんなミキサーで調味料を混ぜたり、パンの生地をこねたりしている会社も多いですが、赤で囲ったように色々な部品で成り立っていることがわかります。これらの部品は数十回動かしただけではびくともしないですが、何百回、何万回と動かし続けているといつかネジが緩んで落ちたり、劣化して折れたりします。

設備は「必ず」いつか壊れます。

壊れて部品が混入する前に…
・適切な頻度で部品を交換
・設備をメンテナンス(部品をしっかりしめこむ)
・部品が落下しないように脱落防止措置をとる(溶接してしまう等)
などの措置をとって、万が一にも金属異物が製品に入り込んでしまうことを防ぎましょう。

➁流出防止の対策を講じる(金属部品が入った事に気付ける対策)

仮に金属異物が商品に混入したとしても、すぐに気づいて出荷を止めることが出来ればお客様に迷惑をかけることはありません。

流出防止対策としては大きく以下の2点があげられます。

検査機を入れる(金属探知機、軟X線検査)

万が一部品が落下したときに、検査機をいれれば気付くことが出来る可能性が高いです。金属探知機や、軟X線検査で密度が高いものを検知することも有効です。

金属探知機は「磁性のある金属」を検知することができます。一方で軟X線検査機は「密度」を確認しておりますので、金属、ガラス、石など「固いもの」を全般的に検出することができます。

その分値段も高いですが、もし金属以外の異物が混入する可能性の高い農畜産物などを扱っている企業であれば、軟X線検査機を導入することを推奨します。



部品があることの定期点検をする

予算の関係で検査機が入れられない場合は、落下して商品に混入する可能性がある部品について、製造開始時と終業時で正しく設置されていることを定期点検しましょう。

開始時には部品があったのに、終業時に部品が無くなっていた場合は製品に入り込んでいる可能性があります。

この場合、出荷を止めて部品が見つかるまで全数検品を実施しなければいけません。

「1日の製造分を全部検品するなんて無理!!」

という製造者の方は、定期点検の頻度を短くしてください。半日分ならなんとか出来るのであれば、定期点検の頻度を製造開始時、お昼休み、終業時、と区切ることで「午前中に作った分は問題なかったが、午後に部品が落下したらしい」ということがわかるようにしておけば、検品の数を減らすことができます。

まとめ

金属異物が万が一混入した場合、口の中を傷つけたり、飲み込んでしまった場合は内臓を傷つける可能性があります。

メーカーは絶対に防がなければならないことですが、そのことを認識できていない業者も多いです。

しっかりと対策を講じて、安全安心な商品を製造していくことを心がけましょう!!

一般消費者の方々は不安に思うこともあるかもしれませんが、FSSC22000を取得している会社であれば問題ないと考えてもらって大丈夫です。

FSSC22000は食品安全に関する認証で、たとえば

英語が出来る人         :英検1級取得
漢字が出来る人         :漢検1級取得 と同様に
食品安全の仕組みが整っている工場:FSSC22000取得 といった位置づけになります。

本日は以上です!

さようなら!

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