【ニュース解説】キッコーマンのタレが容器膨張で回収

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お疲れ様です。シータケ@食品工場です。

今回は表題のキッコーマンの回収事故について解説していきます。
この事件もそうですが、根本的な原因については触れられていませんので、私が品質保証課の目線で解説して、原因についても推察していきたいと思います。

何が起きたか(事実)

キッコーマンのリリースした情報

2024年8月2日にキッコーマンが以下のような自主回収に関するお知らせをリリースしました。この情報によれば「製品に乳酸菌が混入している可能性がある」とのこと。

そして、容器が膨張して吹き出す可能性があるので回収するという旨の発表でした。

詳細はこちらのリンク先から。

なぜ膨張するか

膨張したり、噴出したりするのは容器の中で乳酸菌が増殖して「ガス」を生成するからです。

「ガス」の種類としては炭酸ガスであることが多く、危害性は無いです。

調味料にはお砂糖やでんぷんなど糖類が方法に入っていることが多いので、乳酸菌が増殖する過程でこれらをもぐもぐ食べてガスにしてしまう、ということですね。

特徴的なこと

この回収事故の特徴は、「範囲が広い」ことです。

なんと、商品の種類にして8種類!!

期間にしてすべての製品が6か月ほどです。

ここまで範囲が広く、製品の製造期間が長いトラブルは極めて稀であると思います。

原因(あくまで推察)

当然企業は内部事情について必要以上に説明することは無いので、ここからは私が考える原因について推察して説明していきたいと思います。

まず、前情報として今回の回収事故の対象商品について確認したところ商品の形態が類似していることから、すべて同一のラインで製造している製品であることが推察されました。

したがって、「ある特定のラインの微生物制御の不具合に長い間気付くことが出来なかった」トラブルであることがわかります。

したがって、以下のとおり原因推察します。

原因推察①殺菌条件をずっと間違えていた

たとえば、80℃で殺菌するところをずっと70℃で殺菌していた、などです。

製品を殺菌するために「温度」や「時間」を設定する必要がありますが、この指示や設定値がずっと半年間間違えていた可能性があります。

不十分な殺菌条件だったために、一部の生き残った乳酸菌が増殖して膨張事故を引き起こした可能性があります。

原因推察➁殺菌機がずっと壊れていた

殺菌の設定条件はあっていたものの、設備が壊れていたために殺菌不良品が充填されて製品として出荷されてしまった可能性もあります。

・「80℃」に設定していたのに、実際には「70℃」にしか温度が上がっていなかった。

・殺菌が不十分なのに弁が壊れていて、充填工程側へ漏れ出てしまっていた

などが考えられます。

危害性

トラブルが起きた時に「危害性」があるか考えます。

この件では増えている微生物は乳酸菌ですので、お客様に健康危害を及ぼす可能性はありません

乳酸菌は人が健康のために積極的に摂取しているような微生物です。また、原料の醤油の醸造の過程で活躍する菌でもあります。

しかしながら、容器が膨張して噴出してしまうことや、風味を損なうことを鑑みて回収にいたったと考えられます。

もし仮に喫食してしまったお客様がいたとしても心配する必要は無いと考えます。

まとめ

以上のことから、このトラブルはある特定ラインの「殺菌」にかかわる不具合が長期間放置されていたために起きたトラブルと考えられます。

乳酸菌であることから一般的には健康危害はありません。

お客様や流通の業者からご指摘(クレーム)が止まらず、品質保証課の担当者が原因を究明して事実がわかってきた、という姿が目に浮かびます。

私も似たようなことをしていますので…

何かと参考になれば幸いです。

本日はここまで。

さようなら!

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