おはようございます!シータケ@食品工場です。
最近異物混入に関する記事を色々と書かせていただいていましたが、直近で以下のような回収事故が発生しました。
消費者庁 リコールサイト (リンク)
工程で使用する設備を「クッキングペーパー」で拭いてから使用したところ、クッキングペーパーが破れていることに気づかず、製品に混入した、という事故です。
クッキングペーパーで設備のどこを拭いていたのかもわからないですし、非常に非衛生的な事故です。そもそも設備を拭くのにクッキングペーパーは不適切です。
このような事故が起きてしまって残念ですが、同じ食品製造にかかわる企業として管理が甘かったと言わざるを得ません。
そこで今回は加工場でどんな布巾を使用すべきか、どのように管理すべきか、についてお伝えしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
この記事を読めば、今まで何となく使用していた布巾について見直し、より安全で衛生的な製造に繋げることが出来るようになります。最後までご覧いただければ幸いです。
では早速ですが、布巾で起きるトラブルとはどのようなものがあるのか、説明していきます。
布巾で起きるトラブル
ではトラブルについてですが、そもそも前提として布巾・ダスター・カウンタークロスは似たようなものなので、この記事の中では全てまとめて「布巾」と記載させていただきます。布巾で起きるトラブルですが、以下の2点に集約されるでしょう。
布巾が製品に入る
上記のトラブルでもそうですが、布巾や布巾のちぎれた破片が製品に入るトラブルがよく発生します。こちらについては以下のようなケースがよくあります。
・ティッシュやキッチンペーパーなど材質として弱いものを使用して破片が混入
・材質としては強いが交換頻度が決まっておらず、ボロボロになって破片が混入
・製造設備の近くに放置していた布巾が落下して製品に混入
以上のパターンがよく見受けられるパターンとなっております。
布巾で増殖した微生物が商品に入る
布巾は食材で汚れた台などを拭くことに使用することが多いのではないでしょうか。そのため栄養分が豊富であらゆる微生物が大変増殖しやすい環境が整っています。
私も工場に勤務する中で加工場で使用している布巾の交換ルールを定める際に、色々と菌数の検査をしましたが、食品であれば「初期腐敗」と言われる一般生菌数で10⁶~10⁷個/gの菌数が布巾から検出されて驚きました。
さらに「大腸菌群」なども検出されており、場合によっては食中毒事故も起こりかねないような状況でした。
台拭きなどの管理ルールがあいまいな場合、上述したようなケースも珍しくありません。
お惣菜、アイスクリーム、その他そのままの状態で喫食するようなカテゴリーの製品は食品衛生法で大腸菌群が陰性であることが決められています。
布巾の管理があまいと製品を逆に汚染させた結果、商品の回収事故を起こす原因にもなってしまうため、注意が必要です。
では、どのような管理方法でこのようなトラブルを防ぐことができるのでしょうか。
次に説明していきたいと思います。
布巾の管理方法
布巾の事故を防ぐ管理ルールには以下のようなものがあります。ぜひ皆様の加工場でできていない項目があれば参考にしてください。
因数管理をする
布巾が製品に混入することを防ぐためには、「混入したときに気付ける」ということが必要です。つまり持ち出した数が帰ってきているか因数管理すれば、万が一製品に混入したとしても気付けることになります。
その日、いくつ加工場に「誰が」、「いつ」、「いくつ」持ち出したのか記録を残すようにしましょう。そして専用のごみ箱を用意しておいて、廃棄した際に「廃棄」の記録も必ず残しましょう。
このようにすることで、持ち出した数と、廃棄の数が把握できるようにしておくと間違いないです。
私の工場では布巾に番号を記入しており、以下のような管理シートで運用しています。
もし布巾が返却されていない、ごみ箱にもない、ということであれば商品に混入している可能性があるので、発見されるまで探します。
殺菌頻度を決めよう
布巾は微生物が増殖するので、しっかりと微生物をリセットする頻度を決めましょう。
洗浄・殺菌の頻度は使用環境によって異なるので、一概に答えを示すことはできませんが、例えば台拭きとして使用するレベルであれば1シフトに一度殺菌したものと入れ替えておけばよっぽど汚くなければ問題ないと考えられます。
なお、殺菌方法については厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアル改正案によれば、以下のようなマニュアルがあります。
100℃で5分も煮沸なんてやってられないよ!!!という声も聞こえてきそうですが、環境などを考えた時にどうしても出来ない場合は以下のような手段も代替として可能です。
・200ppmの次亜塩水で5分処理する
・常にアルコールに漬けてスタンバイしている
・使ったらすぐ捨てる
ぜひぜひ、参考にしてくださいね。
交換頻度を決めよう
上述した通り、微生物が増殖したり、ボロボロになってちぎれますので定期的に「廃棄」するタイミングを決めましょう。
こちらについても布巾の種類によって強度が違うので、実際に上述した殺菌方法でお好みの布巾で検証していただいて、物理的にもろくなってくる前に捨てるようにルールを決めましょう。
ちなみに私が所属している工場では、色々調査したうえで、使い捨ての方が管理上楽だということになり、使ったらすぐ捨てるシステムにシフトしました。
おすすめの布巾
求められるスペックは、まず不織布であること。不織布とはその文字の通り、「繊維を織り込んでいない布」ということです。繊維を織り込んでいる布は、繊維がほつれて糸くずになって製品に混入する可能性が高いです。不織布で強度が高いものをチョイスすることが最善の手段と言えるでしょう。
1日以内にすぐ捨てる場合
日本製紙のクレシアがお勧めです。こちらはクレシアのWYPALLの中ではスタンダードモデルで強度がしっかりと確保されているので、破れやほつれによる異物発生のリスクが低い設計になっています。
台拭きとしてはもちろん設備のメンテナンスにも使用できるのでお勧めです。
とりあえず試してみたい方はひと箱購入してみてはいかがでしょうか。
こちらの商品で2024年9月27日現在で23.8円/枚となっています。
洗浄→殺菌で何度か使用する場合
以下のFUJIのカウンタークロス(厚手)がお勧めです。
商品が洗って再利用することを前提に厚手に設計されていますので、洗って再度使うことができます。
FUJIのカウンタークロス(厚手)4枚で449円ですので、(2024年9月現在)、112円/枚でかなり高いですが、まずは試してみたい方はぜひ以下のリンクからご購入ください。
お気に召した方は以下のリンクからまとめ買いしましょう。30.5円/枚となっております。
まとめ
いかがだったでしょうか。
加工場で使用する消耗品はルールが無いとカオスとなって気づいたら製品に混入していることもあります。
今回ご説明したのは一例にすぎませんが、もし今ルールがないような読者の方がいらっしゃったら、まずは私がご説明したやり方で管理してみてはいかがでしょうか。
お客様の信頼を失うのは一瞬のことで、今やSNSで一瞬で拡散してしまう時代です。
地道に見えるような取り組みを積み重ねることでお客様の信頼とブランド価値を気づきあげていきましょう。
本日は以上です。さようなら!!
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