おはようございます!シータケ@食品工場です。
今日も「ニュース解説」ということで、表題の件について解説していきます。 この事故は全国のスーパーで販売していた「幸南食糧」が製造した「お粥DELI 生姜のコクうま海鮮中華粥」で殺菌が不十分だったため菌が増殖してしまい、回収となった事故となっております。
この記事を読んだら、「レトルト食品の開発の難しさ」について理解が深まると思いますので、ぜひぜひ最後まで読んでくださいね。
対象の製品
幸南食糧が製造した「お粥DELI 生姜のコクうま海鮮中華粥」
賞味期限が2025年2月19日、28日の二日間のロットになります。
詳細は消費者庁のリコールのサイトを参照してください。
回収の理由
容器包装詰加圧加熱殺菌食品の規格基準違反(自主検査において細菌試験が陽性反応)
食品衛生法では製品中で発育し得る微生物が陰性であることを明記していますが、今回増殖する菌が検出されたので回収ということになっています。
要はお客様が食べるまでに腐ってしまっているかもしれない、ということです。
レトルト食品開発の難しさ
今回の事故は「想定よりも耐熱性が強い菌が食材に存在していた」ということだと推察されます。
レトルト食品は食品衛生法で「ボツリヌス菌」を殺すことを最低限の殺菌として必須条件(120℃×4分以上)としています。これはこの菌による食中毒が起きた場合に重篤な健康危害が発生し、場合によっては死亡事故が起きるためです。
しかしながら、実際には「ボツリヌス菌」よりももっと耐熱性があって、製品保管中に増殖してしまうような菌が世の中にはたくさん存在しています。(120℃×4分では死なず、さらに高温だったり長時間の加熱が必要ということ)
「だったらもっと加熱して殺せばいいのに」と思いがちですが、加熱すればするほど「美味しくなくなります」。つまり売れなくなります。
食材にはどんな菌が存在しているか見定めて、食品安全上の十分な殺菌条件を担保しつつ、おいしい製品をつくらないといけない、これがレトルト食品の開発の難しさですが、今回のこの商品については企業側がこの商品設計について見誤ったため事故が起きたと言えそうですね。
まとめ
上述したとおり、レトルト食品は開発が難しい一面があり、商品としての微生物設計を一歩間違えると今回のように菌が増殖して回収事故となってしまいます。
今回は「殺菌」はしっかり実施できていたようなので、少なくとも「ボツリヌス菌」の増殖はなさそうなことから死亡事故につながるような危険性はなさそうです。
ただ製品中で増殖しうる菌が存在しているということで、腐敗のリスクはあると思います。
おいしさと安全性の両方を担保するのが企業の力の見せどころですね。
ちなみにレトルト食品で最も危険な事故は「殺菌するのを忘れて出荷してしまった」という類の事故です。これを「レトルトバイパス」といいます。
過去に複数の会社で事故を起こしており、この場合ボツリヌス菌を含むあらゆる食中毒菌が増殖しますので非常に危険だと考えられます。
このような事故は最近では起きていませんが、頭の片隅に入れておいていただければ幸いです。
本日は以上です。
さようなら
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