おはようございます!シータケ@食品工場です。
今日は「ニュース解説」ということで、消費者庁のホームページに投稿されていた表題の件について解説していきます。
なんでこんな事故が起きるのか!?みなさんわからないですよね。
消費者庁のホームページにも「起きたこと」は書いてありますが、「なぜ起きたか」については記載がありません。
一部推察にはなりますが、工場の裏事情も含めて解説させていただきますので、参考になれば幸いです。
回収の詳細(何が起きたか)
対象の商品
・商品名:「和甘ドーナツ マカダミア苺」
・店名:石川県を中心に展開する「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」(スイーツ専門店)
ちなみにこの店は有名なパティシエの辻口博啓がプロデュースしています。
ホームページはこちら
・対象ロット以下の通り
回収の理由
結論としては、「商品の表示貼り間違い」です。
中身は「和甘ドーナツ メープル胡桃」なのに、
「和甘ドーナツ マカダミア苺」の表示シールを添付し出荷してしまった。という事故になります。
表示シールの誤記載及び本来入っていないアレルゲンの「くるみ」が入っている為、回収となるものです。「くるみ」のアレルギーのある方は、喫食するとアレルギー症状を発生する恐れがあります。
以下、写真参照。ラベルは「マカダミア苺」とのことだが、実際に中身は「メープル胡桃」とのこと。
憶測にはなりますが、お客様が喫食して気付いたのではないでしょうか…
「ん~メープル胡桃とマカダミア苺どっちにしようかなあ、悩むなあ、よしマカダミア苺にしよう!!」
(もぐもぐ…、ん?これメープル味ですよね?)
って感じで発覚したと推察されます。
消費者庁のリコールの情報サイトから引用しています。詳細はこちらを参考にしてください。
リンク
原因推察(なぜこんなことが起きてしまうのか)
原因推察ですが、「表示(ラベル)を選定して添付する担当者に当日の製造品目が正しく伝わっていない」とこのような事故が起きます。
工場では一般的に「中身の担当(ドーナツ担当)」と「包装の担当(袋にいれてラベルを張る人)」が異なることが一般的です。
ホームページで今回間違えてしまった「メープル胡桃」と「マカダミア苺」の写真を確認しましたが、極めて似ていることがわかります。(さすがにショコラきなこはわかるかもしれませんが…)
包装担当者が実物を見て「今日はメープル胡桃か」などと判断していた場合、このようなミスが起きてもおかしくありません。
あるいは、製造途中で「メープル胡桃」から「マカダミア苺」に品種を切り替えた場合も、どこから変わったのか正しく伝えられてないと、このようなトラブルが起きることもあります。
対策の一例
対策①しっかりコミュニケーションする
今回のような小さな工場やセントラルキッチンでは、「中身の担当(ドーナツ担当)」と「包装の担当(袋にいれてラベルを張る人)」で今何を作っているのかよくコミュニケ-ションをとることが大切です。
「今作っているものを連絡して掲示する」
「製品が切り替わるタイミングで連絡して掲示する」
「製造終了時に出来高とラベルの数に矛盾がないことを確認する」
などなど、原始的ではありますが小さな工場でもルールを設けて出来ることはいろいろとあります。
対策➁検査装置を入れる
大手の工場は基本的には中身と外装が同じものか「検査装置」を入れています。(具体的には「バーコードリーダー」を入れています。)
連続的に流れてくる商品の「バーコード(外装)」の情報とバーコードリーダーで読み込み、
当日製造している「中身(ドーナツ)」の情報を照合することで間違いがないことを確認しているのです。
この場合、「中身(ドーナツ)」の登録情報から間違っていた場合元も子もないので、この品種設定は大元の製造計画などから自動で反映されるようにしておくことが一般的です。
(現場の作業者が手で設定したりすると、勘違いでミスが起きることもある)
まとめ
表示と中身が違った場合、食品表示法などの法令違反であるとともに、アレルギー反応が起きて重大な健康被害を引き起こす可能性があります。
特にナッツ系のアレルギーは重篤な症状を示すことが多く、絶対にあってはならないことです。
しかしながら、小さな工場の製造ラインでは「人」が中心となって管理しているところもあるのが実情です。
「人」が管理すること自体は悪くありませんが、間違いを起こさないための「管理方法(ルール)」をしっかりと定めてあげることが大切となります。
今日は以上です。
この会社さんも今回の回収を糧に対策をしてもらって、よりよい品質のものを作り続けてい頂きたいですね!!
また消費者庁のホームページをみて、気になる回収事例があれば解説していきたいと思います。
さようなら!
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